2006年05月17日

神話?それとも、作り話?

 昨夜は2ヶ月ぶりの芝居を見に行きました。久しぶりと言うことで、実はワクワク感いっぱいでした。
 
 2年前の『LYNX』が良かったので、今回も期待していたが、実はもう2年前になるとは気づかず、あらためて時の早さにつくづく、ほとほと驚いたのでした。

 2年前と同じ青山円形劇場、同じ、構成・演出の鈴木秀勝さん、主演も同じ佐藤アツヒロ君と言う芝居、『MYTH』。
 『MYTH』とは「神話、伝説」とも「作り話」とも「架空の人」との意味もあると言う。

 青山円形劇場という小さな舞台で繰り広げられる、ちょっと異次元的な、出演者がたった4人だけの芝居、・・・これは『夢か 幻か?』と問いたくなるそのミステリアス加減が、かなり好きでした。

 生前、ほとんど関わりあうことのなかった父の死後、その遺産相続のために父の住まいを訪ねた息子は、実は、精神的なひきこもり青年(バイトでかせいでは、言葉も不自由な東南アジアで自由気侭な暮らしを楽しんでいた)。

 その青年に従う友人も実は、単に息子の頭の中で対話するだけの幻想かも知れない。そして、父の住まいで一夜を過ごすことにしたが、その夜、現れた父と称する男は、幽霊なのか、単なる妄想なのか??ともあれ、日頃、心を開くことを拒否し続けた青年がやがて父との対話の末に、ある成長をとげる・・・という、いくらか明るい未来が透ける結末は正直うれしかった。

 「何故生まれて来たの」「生まれて来た何の意味があるの」と虚無的な主人公が、ほんのすこし、父の死を乗り越えて、先にすすめるなら、希望はまだある・・と思えた芝居でした。

 そんな、孤独癖の若者を演じた佐藤アツヒロ君が、若者の怒りや絶望をひたひたと伝えて来たし、父親役の篠井英介さんの不思議でもあり、神秘的でもある存在感も相まって、小品ながら印象に長く残る作品となったのでした。

 大劇場の力技のような芝居にも圧倒されるけれど、どちらが好き??と言われたら、この円形劇場での小品が好きと言うかも知れません。ホントに目の前で、触れられるほどの距離で演じられる芝居になんだか、とても贅沢な喜びを感じて・・・・。あらためて、これからの芝居のチラシに目を通して、「あれも見たい」「これも見たい」と、困ったことに観劇欲がやけにわいて来たのでした。
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2006年03月11日

観客は元子ども??

 すっかり春めいた陽気の1日となりました。晴れ 昨日、今日とお天気、あまりに違い過ぎです・・・、まさにジェットコースター状態??ってことは、春が確実に近づいている証拠でしょうか??
 
 本日は、新国立劇場に「子どものためのシェークスピア・カンパニー」の公演、「十二夜」を見に行きました。『子どものため』と謳っているから、いいのかな?年齢制限に引っ掛かる?とまでは言わないが、客席でひとり浮いてないかな??と心配したのは、まったく無駄でした。「元・子ども」「大昔に子ども」と言うひとばかりで(苦笑)、ホッとしたものの、見終わって、この芝居、やはり、子どもにも見せて、芝居好きにさせたいよね・・・、なんか、大人が楽しむだけでは、ちょっとばかり、申し訳ないって感じるくらい楽しい芝居でした。わーい(嬉しい顔)

 嵐の海で遭難して(シェークスピアの時代にはやはり遭難は多かったのでしょうね。過去に見た「ペリグリーズ」も遭難して見知らぬ土地にたどり着いた物語だったっけ)、双児の兄妹がたがいの生死も分からぬ状態になり、なんとか助かった妹(ヴァイオラ)はイリリアという地の公爵に、男装して仕えることになる。その公爵の思いひと(オリヴィア)に公爵の思いを伝える役をおおせつかるが・・・(しかし、彼女は公爵に思いを寄せてしまった)。その上、オリヴィアは伝言を伝えるヴァイオラを女性と知らずに恋してしまい、恋心がからまわり、さらに、双児の兄もこの町にたどりつき???という、ある意味、思い違いに振り回される喜劇です。

 シェークスピアの原作を知らなくても、ひとが思いを上手く伝えられない、勘違いやら、うぬぼれやらって、時代がどんなに変わっても普遍的な共感を得られるテーマだけに、大いに興味をそそられる。それをこのカンパニーは、実に斬新な演出法で楽しく、分かりやすく見せている。男装のヴァイオラに対し、オリヴィアを女装させると言う、逆転した配役もある意味、凄いです。
 シンプルな舞台、小道具はイスと机、そして、舞台を暗示する額縁と幕、それらをさまざまに駆使して、見るものの想像力を刺激するし、出演者も9人でいれかわり、たちかわり、いくつもの役を演じ分けて見せるし、効果音の手拍子(クラップ)や照明も効果的だったり・・・するし。

 ほんと、噂に違わぬ楽しい舞台でした。7月には「リチャード3世」をやるそうですから、今から楽しみです。

 で、2度目の新国立劇場、この劇場の不思議のひとつが、折り畳みイス並みの座席 いす です。状況によって舞台を移動させたりするためなのかも知れませんが、それにしても、2時間の芝居でもお尻が痛くなりそうな・・・って、どうよ?幸い?、私は現在は比較的肉厚のヒップ(苦笑)??になったので?なんとかなりましたが、ふつう耐えられるか? この座席に問題ではないのかな??諸君、いかがですか?
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2006年02月05日

ほのぼの恋心はどこに?

 恋する男女の中も、最初のときめきはあっけなく過ぎて、たとえ恋愛中であれ、結婚してからはなおさら、心ときめくこともすくなくなり、あたりまえになってくる。それどころか、片時も離れたくなかった思いはどこへやら、ひとりになりたくなったりする・・・、そんな、男と女の気持のすれちがい、思い違い、誤解、近づいたかと思うと、180度反対方向へと変わってしまったりする、って誰もが経験する恋心、恋模様を、すでに中年に差し掛かる3組と若い1組をまじえて演じた芝居「ラブハンドル」(お腹まわりの脂肪のこととか)を、パルコ劇場で見て来ました。
 
 中谷まゆみさんの脚本、板垣恭一さん演出、出演は離婚のトラウマをもちつつ、離婚訴訟専門の弁護士役の原田泰造さん、彼と付き合って10年、運命のひととの結婚を夢見つつ秘書役をつとめる富田靖子さん、そこへ自殺願望やら片思いやらに悩む依頼人・石黒賢さんを中心に、時折乱入する原田さんの姉夫婦やら、原田さんの娘の彼やらをまじえて、どたばたの展開が、いつの間にか、ひとの心の奥深くまでさらけだして、愛するひとに向かい合うようになるまでを描いて、あれ〜〜〜、涙が、涙が流れてます・・・ってことになる。

 中谷さんの脚本がほんとにいいなぁ。うまいなぁ。それを役者のみなさんがホントに良い感じに演じていて、見て楽しくて、ちょっと人生の機微にほろりとして、大満足の芝居でした。こういう自分の好みに合致する芝居に出会うと、ホントにうれしくて、また次の芝居をさがしたくなるのですが・・・・、
 もっか、手持ちのチケットはなし・・・。

 本日一般発売の「子どものためのシェークスピア・カンパニー」の「十二夜」は土日のチケット完売のようで、あ〜〜〜、それでは他の芝居にしようかなぁ・・・と目下迷っています。ひとつでも多くの良い芝居を見たい気持はあるけれど・・、現実はチケット、とれな〜〜〜〜い!!
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2006年01月21日

無事、観劇

 雪にも負けず、寒さにも負けず、池袋、サンシャイン劇場まで行って来ました。そして、無事生還しました。

 本日見た芝居は山崎正和・作 栗山民也・演出、出演は平幹二朗、坂東三津五郎、高橋長英など。秀吉と利休の互いの友情とそれ以上の力技を題材にした「獅子を飼う」でした。

 この時代設定は一般にも良く知られているし、しかも、秀吉と利休は一見、主従のようでもあり、同志のようでもあり、互いの心をさぐりあう間柄でもあって、いかにも舞台向きの題材。この芝居は14年前に初演され、今回再演という。それにもかかわらず、現在、只今の諸問題にも関連する気配(利休の評価でどんどん変わる茶わんの値段など??)もあって、芝居の秘める奥深さも、さらに皮肉も感じたのでした。
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2006年01月11日

昨夜は初芝居

 ようやく、極寒の気象もややゆるんだようで、昨夜、06年初の芝居見物に出かけるのも、おもったよりも楽勝でした。
 というわけで、06年初の芝居は野田秀樹作「贋作・罪と罰」です。

 ドストエフスキーの「罪と罰」を下敷きにしながら、幕末の日本で、しかも、因業な金貸を殺すのは、女性の三条英という設定。さらに幾重にも仕掛けがあって・・・・、まず舞台が通常の一面から観客が見るのではなく、裏側に当たる対面にも客席があり、幕開き前はさながら鏡を見るように観客同士が見つめあう状況。
 
 そして、これまた「携帯など音の出るものはお切りください」と言ったアナウンスまったくなく、客電も落ちないままに、野田秀樹さん演ずる金貸の因業婆とその妹が舞台に登場。ただ、その因業婆が数える金の音だけが続く始まり・・・。

 金貸を殺すラスコリーニコフ役にあたるのは松たか子さん演じる三条英。しかも、時代は幕末で、ここに倒幕運動がからむ。「天才には法律を踏み越える権利がある」とするその優越感も、さらに、そこから己の犯した罪の意識に苦しむようになる様も思ったほど強烈ではなくてちょっと意外でしたが・・・。でも、その一方で倒幕に向かう民衆が、その意思を躊躇させ、「誰か立ち上がったら、ついていこう」というその優柔不断ぶりや、「あんな奴、殺してもいい」としながら、実際の手をくだすことはできないあたりに、ある意味、いつの時代にもあった民のあざとさもそうだなぁ・・と痛感したのでした。 

 芝居としては、松さんの高い声の叫びが・・・最後に、思わず感涙となってしまった・・・のは、想定外でしたが・・。

 いくつもの要素を組合わせた細工もののような芝居を、解きほぐす魅力もあって、生の芝居は楽しいなぁとあらためて、思ったのでした。まだ当分、この芝居について、あれこれ反すうしつつ楽しめそうです。

 
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2005年11月04日

不思議な芝居を見た?!

 昨日は京橋の「ル・テアトル銀座」で「ダブリンの鐘つきカビ人間」という、タイトルだけでは「なんじゃ〜〜、これ?」という芝居を見て来ました。

 チケットを取る時点ではだいたいの感じで選ぶ(もちろん取れないことも多いけれど)ので、この芝居も見るまでほとんど白紙状態でした。では、なぜ、あまたの公演の中から選んだかと言うと、前回パルコ劇場での公演が評判よかったらしい、しかも「橋本さとし」さんが出演してると言う・・・と、ただそれだけの理由でした。
 
 で、この芝居、まあダブリンとあるからには、アイルランドが舞台か??ともかく中世のアイルランドかもしれない森の中で、不思議な病におかされた人々、その人々を救い出すには、なんでもいわくのある剣を探し出さなくてはならない、という冒険譚と、病によって無気味なカビ人間となってしまった男と、心と言葉が真逆になる娘のラブストーリーなどからみ合ったって・・・、この説明ではやっぱり訳分からないと思います。

 でも、最初、「これってお笑い???」ってくらい、笑いを取ろうとするような、どうなる??この芝居??と思ったものが、最後にはなぜ??なぜに涙が出るの???って感じになったので、もうびっくり!!これはある意味、「上質の詐欺」です。以前に見た芝居で、「芝居は詐欺みたいなものだけど、上手に騙さなくちゃ」ってあったけれど、これはまさに「上手に騙してくれました」(褒めてます)。
 で、お目当ての「橋本さとし」さん、期待に違わず、面白くて、かっこいい役者ぶりで、「余は満足じゃ・・・・」。

 ダブルブッキングでチケットを譲った母の見た「歌わせたい男たち」(ベニサンピット)も、とても良かったと喜んでもらえて、まずは良かった良かったの「文化の日」でした。
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2005年09月23日

「小林一茶」という芝居


2005092315109e22.jpg 台風はどうなのか??できるならば、なるべく接近してほしくはありませんが・・・・。
  
 ともかく、本日は新宿の紀伊国屋サザンシアターにこまつ座の公演「小林一茶」を見に行きました。江戸時代の俳諧でお馴染みの小林一茶、「けふからは日本の雁ぞ楽に寝よ」だとか「痩蛙まけるな一茶是にあり」「やれ打な蝿が手をすり足をする」などと詠んだ江戸の俳諧師/小林一茶の生涯を、いわば大事なスポンサーから金子を盗んだ犯人として追求するべく、その過去から問い直す劇中劇を中心に進行する芝居です。

 歴史的にも有名な人物、つまりは、その一茶をおとしいれようとし、それによってわずかな利潤に目が眩むほんの小さな集団の愚かさにも批判が込められている。ついつい、地元の些末な利害のために、肝腎のことに目を閉じ、その犠牲者が出ることにも鈍感になることへの批判は、実は今日一番大事な指摘かもしれません。

 まあ、会場を見渡すと、どちらかというと、高年齢の方が多く、見てとっても楽しい芝居なので、ぜひもっと若いひとにも見てほしいと思いました。

 主役の北村有起哉さん、それに対する高橋長英さんや何役もこなすキムラ緑子ら出演者の皆さんの演技力にも、また舞台装置の巧みな変化にも魅了されたのでした。
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2005年09月04日

舞台裏を見せる芝居?

 芝居の舞台裏でなにがどう進行しているのかは、芝居好きには興味深いものです。パルコ劇場で現在公演中の「ドレッサー」はそんなバックステージを見せてくれる興味津々の芝居。
 
 それも第2次世界大戦下のロンドンで、ナチス軍の砲撃に劇場を次々に破壊され、若手の俳優は兵士にとられて、いわば追い詰められた状況にすっかり精神を病んだ座長と、それでも「SHOW MUST GO ON」となだめすかし、取りなして、芝居を上演しようとするドレッサー(付き人)やプロデューサー、役者らの悪戦苦闘をえがいたもの。
 
 ほんとに限られた座長の楽屋がメインとなっている芝居で、このすでにボケもはじまり、さらに臆病風にもさらされるおいぼれ座長が演じる演目は「リア王」。
 なんだかんだと逃げ出そうとする上に、いよいよ幕が開いても立ち上がれないそんな老惨の役者を平幹ニ朗さんが実に巧妙に演じ、そんな座長に長年使え狡猾に、でも懸命に芝居の幕を開けようとするドレッサー(衣裳などを整える付き人)役の西村雅彦さんもまさにうってつけ。

 役者の力を見せつけられた感じで、でもこうやって、存分に力を発揮して、見るものを引き付けるって何と幸せな仕事かともおもったりしました。でも、日曜日のマチネーにもかかわらず、後ろの方の座席にいくつか空席があって、なぜ???ともったいなく思ったのでした。

 ところで、うっかりもの、ドジな私は、つい、コメントやトラックバックなどある訳ないとまったく注視してなかったものですから、今朝、とんでもないトラックバックあり、さらに7月にトラックバックしていただいていたことを今さらながらに気づいたり・・・ホント、冷汗ものでした。うっかり、気づかず返信もしなかった皆様、ごめんなさい。でも、今も良くわかってないダメダメですから、御容赦ください。
 
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2005年08月31日

青山円形劇場好きだ!

 昨夜は、青山円形劇場に「エドモンド」という芝居を見に行きました。アメリカの劇作家、ディヴィッド・マメットが82年に初演したと言う芝居を、長塚圭史さんが演出。「トリビア」でお馴染みの八嶋智人さんが主演のエドモンドを演じ、大森博史さんや酒井敏也さん、小松和重さん、小泉今日子さんなどが何役も演じわけるというもの。

 主人公、エドモンドが女占い師に「あなたはいるべき場所にいない」といわれたことから、さまよい出し、しかし、どんどん事態は悪化し、自身壊れてゆき、落ちてゆくと言うシリアスで怖い芝居でした。結局、教訓的な意味合いはまったくない芝居だけれど、事態を良くも悪くも変えるのは自分のほんの少しの思いの差からかもしれないと、ふと感じた。「自分の居場所を作っていくのも、それに係わる人とどう対応していくかも、いわば、ちょっとしたさじ加減で変わっていく」のかもしれません。まあ、だれにでも、ちょっとした被害者意識も、差別意識もあったりするけれど、その微妙なバランスを崩すと悪循環におちいってしまうのかなぁ・・・・???落ち切ってしまったエドモンドが幸せそうにさえ感じられる表情だったけれど・・・・その意味はもっと考えてみないとよくわかりません。
 
 この青山円形劇場は文字通り、円形の舞台で演じられるので、演出も演じる役者さんも大変だと思う。なにしろ、どこからも視線を感じるでしょうから・・・とてもむずかしそう。でも本当に小さな劇場で間近で役者さんの息遣いも感じられるとても贅沢な劇場だと気に入っています・・・。

 それにしても、主演の八嶋さんは以前に三谷幸喜さんの「バッド・ニュース、グッドタイミング」では軽妙なホテルのボーイを演じていたけれど、まるで別人のようで(メガネもはずして)びっくりの大熱演でした。
 
 なんと本日で8月も終わり、夏の終わりです。昨日、地下鉄・表参道駅から外に出たら、もう夜だったので、あ〜〜〜、夏は終わったな・・・と思いました。午後6時半に夜になっていた・・・。
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2005年07月24日

好きか?嫌いか?

 本日は新宿は紀伊国屋サザンシアターに劇団M.O.P.の芝居「水平線ホテル」を見に行きました。

 おおまかな舞台は第二次大戦下のイタリア、アドリア海に囲まれたホテルで、いずれも訳ありそうな客と従業員が、さらに思いもかけない事態にまきこまれて・・という、「笑いあり、涙あり、しかもかっこいい」という三拍子揃った芝居です(拍手)。
 
 今回は実に久々に劇団員全員集合ということで、舞台が狭く感じられるほど、多彩な人物が複雑にからみ合って・・、だまし、だまされ、意外な展開・・・。この劇団の主宰者マキノ・ノゾミさんの個性かもしれませんが、「スティング」っぽいだましがけっこう痛快。だって、最近の「振り込め詐欺」やら「リフォーム詐欺」と違って、あくまで強い、権力をもつ連中を、知恵を使ってだまそうというその心意気に拍手です。
 いや〜〜、役者さんたちが、まるで家族のように和気あいあいと、でもしっかり真剣勝負で、良い雰囲気でした。
 
 戦時下のホテルを舞台にしているので、国家権力の代表的人物が「正しいか、正しくないか」を理念とかかげるのに対し、ちゃらんぽらんなギャンブラーはあくまで「好きか、嫌いか」をかかげ、余命わずかな作家は「美しいか、美しくないか」をあげるそのほんの一瞬の対決に、ちゃらんぽらんにしてのらりくらり派としては、「美しくて好き」という価値観を、なにはともあれ、大切にしたいメッセージと受け取りました。
 
 で、この芝居、最後に国家権力からホテル客が無事脱出してめでたし、めでたし・・・と思ったら、一見蛇足のようなエピローグがあって、なぜ???と思ったら、最後の最後にラジオニュースの一言。歴史のシニカルな批判としてグサっと射抜かれたのでした。

 主演の3人(ホテルの女主人のキムラ緑子さん、謎のアメリカ人の三上市朗さん、作家でホテルの女主人と恋仲の小市慢太郎さん)もほんとに素敵で、良い感じでした。3人のファンとしてはなんともうれしい感じ。そうそう、今さらながらですが、小市さんの声の良さにあらためて、ノックアウトされたってことは内緒です。

 この公演、28日までですが、まだチケットが残っているようなので、カーテンコールで三上さんが「ぜひお知り合いにすすめて・・・」とのことでしたから、よかったら、ぜひどうぞ(ぴあ、e+参照)。
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2005年07月07日

面白、こわ〜〜〜い!?

 昨夜、パルコ劇場で見た長塚圭史さん作・演出の「LASTSHOW」。実は初の長塚作品だったのものですから、ある意味、見るものすべてが、(私的には)新鮮であり、驚きでもあったのです。

 この芝居を演じるのは、風間杜夫さん、永作博美さん、古田新太さんに北村有起哉さん、中山祐一朗さん、市川しんぺーさんというきわめて個性的な6人の役者さん。ストーリーについては、まったく話せないのですが、うさんくさい動物愛護家の古田さんのドキュメンタリーをとろうとする北村さんと中山さんのテレビ・クルー。その北村さんは新婚で、妻は子役からのキャリアをもつ女優の永作さん、そこに北村さんの実の父、しかし、ずっと別れたままだった風間さん登場・・・。

 ここから、これらの人々がいわば一室で複雑に絡み、ブラックにして、シュール、怖い、けれどもどこかおかしいようでやっぱりゾッとするような狂気の展開が紡がれていくわけです。しかも、この家庭の外には廃棄物処理場の建設という別の不安要因も設定されています。観客は作者と役者に翻弄され、思いもかけない展開に度胆を抜かれ、言葉もなく振り回され・・・・、もう、ただ圧倒された2時間でした。

 結構、ヘビーな状況もあって、でも、過去の長塚作品に比べると洗練されて、ヘビー度も押さえられているということですが、人間の内面のクレージーさ、それでも、しだいにその状況になれていく、感性の麻痺していく怖さもあいまって、人間とは、家族とは、極論すると愛とは何かまで、いろいろな問いを突き付けられた感じで、ただ呆然と帰宅しました。

 最近、たびたび報道される家族間に起こる事件とは直接係わらないけれど、人間がぶつかりあう場でありながら、どこか抑圧された無気味さを隠しもつ、その怖さの一端を感じることができたかもしれません。それにしても、作者の長塚さんは今年30歳とか、その年でこの作品、その才能が何よりも怖いかも知れない・・・とも思ったのでした。
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2005年06月11日

あなたの敵は???

 本日は池袋のサンシャイン劇場に「仮装敵国」と言う芝居を見に行きました。これは、昨日も書いたかもしれませんが、7人の脚本家が15分の芝居を、7人の役者に演じさせると言う、ある意味実験的な???もの。
  
 芝居によっては、見に行く前からある程度予想のつくものが多いです。原作があったり、まあ多少事前にレビューなど読んで察しがつくものがある一方で、まるでわからないものもあるのです。さて、今回は後者でした。少しばかり事前勉強をしようとしても、まあ、レビューもネタばれを遠慮されるからか、イマイチわからないまま、見ました。

 で、結果的には正直、面白かったです。今をときめく7人の脚本家の本が、まあ、単純に面白いし、その上、もしかして・・・・、これは深読みできる奥が深い???と感じさせるという重ね技。演じる方々も大変だと思うのです。なにしろ、何役もとっかえひっかえ・・・って感じですが、でもとっても楽しそう。しかも、場面転換の部分もお洒落だし・・・。というわけで、大いに楽しんだのですが、BUT、初のサンシャイン劇場は・・・・、池袋駅から人込みをかき分けて遠い???し、それはともかく、座席が短足の私でも奥の席に入る人のためには立ち上がらないと通れない・・・、前の座席に膝が当たる・・・って、ちょっと窮屈過ぎる・・と文句の一言。よほど作品でないと行きたくないかも知れない劇場にリストアップしつつも、今回はけっこう満足したのでした。
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2005年06月10日

好きな劇場は・・・


20050610148a38f1.jpg 明日はサンシャイン劇場で、「仮装敵国」という芝居を見る予定。数人の脚本家が書く15分の芝居をつなげたということで、前衛的な面白さを期待してチケットをとってみました。実はサンシャイン劇場ではじめての観劇です。上川隆也さん率いる?劇団キャラメルボックスがよく公演する劇場なんですが、これまでチャンスがなく明日はじめての参戦です。これって、実はけっこう緊張するんです。

 良く行く劇場はまず、シアターコクーンとパルコ劇場。さらに、青山劇場や、新劇の殿堂、紀伊国屋劇場もかなりおなじみです。うちからもっとも近いのはかつてのセゾン劇場・・・、目下ル・テアトル銀座ですが・・。まああまたの劇場の中で、できるだけ行きたくないのは「さいたま芸術劇場」と「新国立劇場」かな??「さいたま芸術劇場」の方は単純に遠いから・・。しかし、新国立劇場はまずその威圧感いっぱいの建物からして、苦手?嫌い?・・・とたった1度で思ってしまって・・・(しかも、そのわりに座席がおそまつ??)。同じように遠いはずですが、世田谷パブリックシアターの方がなぜか親近感の湧く不思議・・・.

 劇場に入っていくとき、どんな芝居なんだろう??面白いのかしら??と、どきどきする、その気分が病み付きになる第一段階・・・って、まあ、単純過ぎる・・お粗末だと思いますが・・・。正直、止められません。
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2005年05月26日

役者やの〜〜〜〜!!


200505267196424b.jpg 昨夜、渋谷のシアターコクーンで「メディア」を見てきました。もう主演の大竹しのぶさんの迫力に圧倒されました。なにしろ、出ずっぱり、膨大なセリフ、時に憎悪に苛まれる狂気、時に可愛い子ども、愛する夫への母として、妻としての揺らぐ思いを、変幻自在に見せて、さらに、子殺しの母の思いというおよそふつうには理解しがたい心理までも、見るものに納得させる・・・って、これは、ただ者ではありません。

 しかも、舞台は全面に水をはって、美しい蓮の花が立ちあがるギリシャ悲劇にオリエント・テイストを加味した蜷川さんならではのものだけれど、役者さんには大変です。水の中を歩き回り、1時間50分、足もふやけるだろうし、衣裳も水を含んで重くなるだろうし、そんな中での演技はハードル高そうだ。

 「メディア」はエウリピデスの悲劇、つまり、愛するもののために国を捨て、弟を殺して、異国でなんとか手に入れた夫と子どもとの幸せな暮らし、しかし、その夫が、その国の王の娘に心奪われ、妻であるメディアを裏切ってしまう。ここから、メディアの復讐が始まる・・・というものですが、いくら分かりやすくとは言え、ギリシャ悲劇に「不倫」ってちょっとその言葉は俗過ぎないかな???

 それにしても、ギリシャ悲劇やシェークスピア、いくら時代を経ても人間ってちっとも変わらないんだなぁ・・・.だからこそ、はるかな時代を越えてリアリティのある共感を生むのでしょう。

 蜷川演出をいくつか見てきたので、ラストの演出には正直、また???ってところもあったけれど、それでも、この芝居ではただもう、役者の力にあっさりひれ伏したのでした。

 「同じ人間とは思えん・・・・」と、舞台を支配し、観客の視線を一身引き付けた大竹さんへの、熱い熱い拍手に手が痛くなりながら思ったのでした。
 
 
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2005年05月15日

いぶし銀の輝き?芝居の楽しさ

 本日は紀伊国屋ホールに「グリマー&シャイン」という芝居を見に行きました。けっこう地味な作品のようで、世間の話題には上っていませんでしたが、この芝居を見ようと決めたのは、実は02年に「ジェイプス」という芝居を見たらけっこう面白く、それと同じ演出家、出演者と言うことで決めました。
 今回の芝居は、いわくのある過去を持つジャズプレーヤたちが35年を経て過去を思い出し、さらに、若い世代をからめて、いまあらたな対応を迫られる・・、なかなかに複雑で奥の深いストーリーでした。
 お目当ては「ジェイプス」で兄弟を演じた羽場裕一さんと高橋一也さんだったのですが、今回ジャズマンから足を洗ってすっかりエクゼクティブとなった羽場さんに対し、どっぷりと自堕落なジャズマンを引きずる山路和弘さんが、実に味のあるユーモラスで飄々とした人物を演じていて、すっかり魅了されました(新発見も芝居の楽しさのひとつです)。しかも、カーテンコールでジャズマンを演じた山路さん、羽場さんがトランペットを、高橋さんがトロンボーンで生演奏を聞かせてくれて、その多芸ぶりに感心したのでした。

 しかも、今回は座席がC列ということで、前から3列目かと思いきや、A、Bは舞台の関係でなくて、つまり最前列・・・もう目の前に役者さんという、実にラッキーだったのです。

 それにしても、芝居見物の途中で床が、椅子が、突然揺れる・・・???ではないか・・・。「地震」と観客のささやきが広がったけれど、役者さんたちはまったく動揺を見せず、幸い地震も比較的小さくおさまってホッとしたのでした。
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2005年05月06日

二人芝居が好き!

 芝居好きを公言するほどではないけれど、芝居の楽しみは多いと思っている者です。どれを見ようかと品定め、なにしろ見たい芝居の公演はどういうわけか、けっこう時期が重なったりするから、困る。作品、作家、演出家、出演者、そして日程やチケット代、総合的に判断して、よし、これを!と思っても、都合良くチケットがとれるとは限らないし・・・。
と数多の障害を乗り越えて、ようやくチケットも手に入れたら、あとは指折り当日を楽しみに待つ。時々はすでに見たという一行レビューなどに期待をふくらませたり、逆にしぼんだりもあるけれど、いよいよ当日、開演前の劇場の雰囲気が好きだ。なんとなく、浮き立つ気分・・。

 本当に好きな芝居はやっぱり、引き込まれて見て、見終って新たな視点や発見のある、ある意味、衝撃に頭を射抜かれるような芝居。野田秀樹の「パンドラの鐘」や「オイル」はまさにそんな作品だった。
 もちろん、痛快、爆笑、そしてあとに残らない気分スッキリの芝居も面白いが、牛ではないけれど反すうして楽しむ作品を上げていくと、けっこう地味な二人芝居が多いことに気付きました。

 対話劇のシンプルさ、観客にも想像力を求められたりするところも刺激的だし・・・。謎の女の無気味さがあとを引く「ウーマン・イン・ブラック」、サラ・ベルナールの生涯をたどる「サラ」、音楽をより理解するために弟子入りを余儀なくされたピアニストとヴォイス・トレーナによる「詩人の恋」、列車に乗り合わせた作家とそのファンの女性の互いの内心を語る「偶然の男」、図書館のシステム変更に抵抗する図書館員とそれを説得する刑事の「ディファイルド」などなど、どれもとても印象的でした。厳密には二人芝居ではないけれど、芝居の主な登場人物は二人というニール・サイモンの「第二章」や麻薬中毒になった男の頭の中に住む男との葛藤を描く「リンクス」なども面白かったし・・・。まあ、実はあんまり登場人物が多いと「だれ?」となってしまうただの頭の弱さによるだけかもしれないんだけれど・・・。

 6月はともかく、7月は見たい芝居が激しく重なってもうどうしようもない、ほとんどをあきらめざるを得ないだろうし、見たい芝居のチケットは争奪戦が激しそうだし・・・と言いつつ、さて、でもこれからもドキドキ、ワクワクさせてくれる芝居に出会うのを楽しみにしています。
 
posted by norarikurari at 19:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 芝居 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする