2018年03月12日

芝居ってアナログで面白い

 つくづく思うけれど、芝居ってアナログの極致。ひとが演じて、それを生で見る。歴史的にも実に古いもので、時代の変化をできるだけ避けて生き残ったもののようでもあります。
 いま、いろいろな情報が居ながらにして手にできる時代に、わざわざ決まった時間に出かけて、体験する。いわば一期一会の究極のかたち。だから面白いとあらためて思ったのは新国立劇場の「赤道の下のマクベス」を見て。

 最初、この芝居のタイトルを見て、正直全く中身の想像がつきませんでした。なに?。だから当然チケットを取ろうとは思いませんでしたが、朝日新聞の記事を見ると、戦後B,C級戦犯として処刑された朝鮮人たちをテーマとしているということで、チケットを取りました。幸い発売からは少し時間は経っていたようですが、無事とれました。
 というわけで、3月10日(土)新国立劇場で見たわけです。
 開幕前から舞台に幕はなく、すでに奥に絞首台があり、この芝居のシビアな結末をいやおうなしに想像させるもの。これは眼をそむけずに見続けるのがなかなか厳しい芝居になりそうだと・・・・覚悟を決める感じ。

 あの映画「戦場にかける橋」の舞台となった泰緬鉄道建設時の捕虜虐待の罪を問われた日本人兵と朝鮮人監視員。とりわけ理不尽と思われるのは最下層というべき朝鮮人に死刑を求刑された事実、それゆえに彼らの懊悩は深い。日本人上官に命じられた、捕虜虐待やその死にかかわった罪は日本人上官、さらに上からの命令だ・・・と訴えても認められない苦悩。こんな絶望的な状況でも、人間はやはりお腹はすくし、些細なことで仲たがいもおこる。そして、少しの願いや希望を打ち砕くような処刑になってしまう。
 厳しい歴史的事実をよりリアルに感じられたのは、生身の役者の訴えだから。それを受け取るのも生身の観客。その交感は芝居の何よりも強みではないか…とあらためて実感した。
 作・演出は鄭義信さん。これまで「焼肉ドラゴン」で数々の演劇賞を受賞するなど、ぜひ見たいと思っていただけに、期待にたがわぬ素晴らしい芝居を見られて、やっぱり、芝居は面白いですね〜〜って思ったのでした。実は、芝居の後半、終盤にはハンカチがなくてはどうにもならないほど、客席のあちこちからすすり泣く声も聞こえる、そんな迫真の芝居は久々だったように思いました。
 
posted by norarikurari at 22:38| Comment(0) | 芝居 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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