唐さんの芝居はストレートにメッセージを投げかけるわけでもなく,分かるものにはわかる・・・という感じだけに、どう読み取るかその力量が観客にも問われているようで、正直、むずかしい。だから、猥雑な言葉さえ、美しく透明感を感じさせるその瞬間瞬間を味わう感じ。
この舞台の設定が,おそらく初演の頃に理解しただろうものと,現在と・・・随分違っているのでしょうね、当時は、コインロッカーもシンナーもストレートに伝わったかもしれませんが、いまでは、ちょっとひねった解釈を考えて,余計に訳が分からなくなるということかも?
ともかく、本物の犬が舞台に登場したり、あいかわらず、度肝を抜いてくれる蜷川演出ですが、ハイテンションの中に,言葉の美しさや人間の悲しみをみなぎらせた興味深い作品。
盲人役の古田新太さんはさすがの安定感、奥尻銀杏役の宮沢りえさんの美しさと圧倒的パワー、フーテン少年の小出恵介君のつたなさと若さと愛らしさ、脇の木場さんなどの演じ手がハマっていた。ちょっと驚いたのは、大女のミニスカポリス役の大林素子さん、すっかり女優になっていた。
刺激的な芝居は、やっぱり分からないながらも、面白いです。
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