2013年06月17日

刺激的なお芝居

 アメリカ演劇界の最高賞、トニー賞の最優秀作品賞にノミネートされ、最優秀女優賞を受賞した作品、『ヴィーナス・イン・ファー』の日本版公演が始まり、シアター・コクーンで見てきました。

 マゾヒズムの元祖?レオポルト・フォン・ザッヘル=マゾッホの『毛皮を着たヴィーナス』を脚色し、演出しようと言うトーマス・ノヴァチェックが、主演女優のオーディションを終えたものの、期待に応える女優はひとりもなく,落ち込んでいるところに駆け込んで来た無名の女優は、なんと主人公と同じ名前のヴァンダ。ここから,強引な彼女の懇願に、本読みをすることになり、相手役を務めるトーマス。最初は演出家と女優という立場だったふたり、しかし、この劇中劇を演じて行くにつれて、主従関係は逆転し、物語の中の関係性へと移ろって行く。

 現実と劇中劇が目まぐるしく錯綜する,スピーディな展開が刺激的で実に面白い。理詰めであり、エキサイティング。たった二人の芝居で、立場が入れ替わり、最後には性別も入れ替わって、膨大な台詞を演じ分けるのは至難の技かと思うけれど,濃厚でスリリングな芝居を堪能した。
 なんか、これに比べると,日本の芝居はやはり淡白な感じもすることに気づかされたようでもあり,この複雑に組み立てられた、味の濃い芝居、かなり癖になりそうです。

 マゾッホの原作をもとにしているだけに、マゾヒズム、支配と非支配、男と女、いろんな対立の構図が詰め込まれているけれど、日本にも谷崎潤一郎の『痴人の愛』や『瘋癲老人日記』がSMテイストだったっけ?と思い出しても、なんだか随分あっさりだったような気がしてしまいました。
 めくるめく芝居を演じたのは、演出家・トーマス・ノヴァチェックを稲垣吾郎、女優・ヴァンダ・ジョーダンを中越典子。演出はロス・エヴェンス。翻訳劇の違和感もなく、大いに楽しめたのは、なによりも、脚本がしっかりとしていたからでしょう。役者の熱演もさらに味わいを濃くしたと言えそうです。ヴァンダという女優がなにやら謎めいた存在であるところが、芝居の陰影をさらに濃くしていたようです。
posted by norarikurari at 20:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 芝居 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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